開田高原末川

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開田高原末川-5万年前の大規模な岩屑なだれ堆積地

 開田高原の末川では、木曽馬の放牧や乳牛の飼育、トウモロコシや蕎麦・赤カブの栽培など、豊かな自然を生かした農・畜産物の生産が行われています。凹凸に富む地形を生かしたゴルフ場もあります。

 開田高原末川は、御嶽山の岩屑なだれが谷を埋めてできた土地です。約5万年前の大規模な山体崩壊によるもので、岩屑なだれの総量は16億~27億m3、御嶽崩れの47~79倍にも達すると推定されています。この時に流れた堆積物は木曽川沿いの各所に見られ、およそ150㎞下流にある愛知県犬山でも確認されています。木曽川沿いの堆積物は「木曽川泥流」と呼ばれており、岩屑なだれが、木曽川を下る間に水を多く含み、火山泥流の特徴を示すようになっていったと考えられます。岩屑なだれは、西野川を下って王滝川に合流し、木曽川に流れ込みました。木曽川との合流点から約4㎞上流でも堆積物が確認されています。余りの勢いで一部は遡行し、今の木曽福島までをも埋め尽くしたと考えられています。現在起こったらとんでもない大災害になる、我々はそうやって出来た場所の上で生活しているのですね。災害と恵みは紙一重と感じさせられます。(國友孝洋)

※(参考)
小林武彦(2017)王滝村と周辺の地形・地質.村誌王瀧村自然編.王滝村, 106p.
吉田英嗣(2010)土砂供給源としてみた日本の第四紀火山における巨大崩壊, 地学雑誌, 119(3), 568-578.

開田高原末川

 御嶽山に登るといろんな場所から開田高原末川の岩屑なだれ堆積地を見ることができます。写真は、三ノ池トラバース(八合目女人堂の北西方)からの眺望です。向かい側の山にある「きそふくしまスキー場」手前の平坦地が開田高原末川です。岩屑なだれの特徴でもある流れ山が起伏のある地形をつくりだしています。

木曽川泥流(岩屑なだれ)の露頭

 末川沿いで見つけた岩屑なだれ露頭です。河岸段丘の露頭では、角が丸くなった礫が川の流れの方向に並んでいたりしますが、ここでは、火山岩の角張った大小さまざまな礫が、砂泥と一緒に乱雑に堆積しています。

ジグソークラック

 ジュラ紀付加体の層状チャートです。猿橋の下に拡がっています。九蔵峠の層状チャートほど褶曲しておらず、きれいに積み重なっているのが分かります。下りて観察するのは難しいので双眼鏡などでお楽しみください。