火山の基礎知識

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火山の恵み

火山の恵み

 火山噴火による災害は甚大なものが多いですが、反面、火山による恵みもたくさんあります。

景観

 裾野の広がった雄大な風景は、粘性の低い溶岩が流れ下ってできた地形です。また、粘性の高い溶岩が流れ止まり冷え固まるとそこに高低差ができ、滝ができます。流れ止まった溶岩の量が多いほど、その滝は高低差の大きな雄大な滝となります。御嶽山周辺には多くの滝があります。
 かつて火口だったくぼ地は水をたたえる湖となり、火口や溶岩でできた変化に富んだ地形と、その標高から見る空や雲とのコラボレーションは一見の価値があります。

温泉

 地下水がマグマなど地下の熱で温められたものが温泉です。実際に火山の近くには数多くの有名な温泉があります。また、有珠山麓や伊豆大島など、噴火の後、新たに温泉が誕生した場所もあります*14

湧き水

 噴火による噴出物はスポンジのように小さな穴がたくさん空いていていると共に、ただ降り積もってできた地形のため、固結せず水分を蓄えやすい地質なので、その山麓は地下水に恵まれています。

土壌等

 大規模な火山活動により流れ出た粘度の低い溶岩流や山体崩壊によりできた広大な平野と、降り積もった火山灰は水はけも良く、長い年月を経て野菜の栽培に適している土壌へと変わります。開田高原の白菜やとうもろこしは火山の恵みと言っても良いかもしれません。
 また、海沿いでは起伏に富んだ海岸線や海底に多くの動植物が生息し、豊かな生態系が営まれます。

調査・研究

 大規模な火山活動は広範囲に噴出物が残されます。特に降灰は数百キロにもわたり広範囲に降り積もり、数万年経った今でもその地層を確認することができます。
 火山の噴出物は、火山の場所や年代によってそれらを構成する成分割合が違う為、地層に残された噴出物を調べる事によって、地形の発達や海面の変化、天候・地殻変動などの研究に大変重要な役割を担っています。
 およそ10万年前の御嶽山の大噴火により、東北地方南部から関東地方にかけて広範囲に降り積もった火山灰は、他の火山の噴出物とも対比がしやすく、それらの年代を考察する上での基準層になっていると言われています*25

参考文献リンクなど

*14 PHP研究所「火山の大研究」

*25 国土地理院:「火山土地条件図「御嶽山」について」

(http://www.gsi.go.jp/common/000069215.pdf)