火山超雑学クイズ

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出題クイズ

Q55
地質時代「チバニアン」の始まりは、最後に地磁気の逆転が起こった時期にあたります。溶岩が冷えて固まる際には、その時の地磁気の方向に磁気を帯びるのですが、日本で最初に現在の地磁気と逆向きに磁化した岩石が発見された場所の地名が、ある火山岩の日本語名の由来となっています。その場所の地名と火山岩の名前は?
出題者(國友孝洋)

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A55
地名は玄武洞(ゲンブドウ)で、火山岩の岩石名は玄武(ゲンブ)岩です。

解説

  地質時代「チバニアン」が、2020年1月17日、国際地質科学連合(IUGS)で正式に命名され、千葉県市原市の地層が国際標準模式地として認定されました。おめでとうございます。

 チバニアンの始まりである約77万年前は、地磁気の方向が現在と同じになった時期です(Q8を参照のこと)。それ以前には、方位磁石のS極が北を指す時代があったことになりますが、そのことを発見したのが松山基範(まつやまもとのり)博士です。博士は、兵庫県豊岡市にある玄武洞の火山岩(basalt)の残留磁気(ざんりゅうじき)が、現在の地磁気の方向と逆であることを1926年に発見し、さらに国内外の岩石を多数調べて、地球磁場が逆転するという説を1929年に唱えました。basaltの日本語名である「玄武岩」は、古藤文次郎(ことうぶんじろう)博士が、1884年に玄武洞にちなんで命名したものです。玄武洞は約160万年前に噴火した溶岩で出来ており、亀の甲羅に似た六角形の柱状節理が見事です。四神(しじん)の青龍(青龍)、白虎(びゃっこ)、朱雀(すざく・すじゃく)、玄武(げんぶ。亀と蛇)の中から、柱状節理の断面を亀の甲羅に見立てて玄武洞と名付けたのは江戸時代の儒学者 柴野栗山(しばのりつざん)です。


参考文献

国立極地研究所ホームページ(研究成果・トピックス)

https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20200117.html

藤岡換太郎(2017)三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち ブルーバックス 講談社 222pp

Matuyama, M.(1929)On the direction of magnetization of basalt in Japan, Tyosen and Manchuria, Proc. Imp. Acad. Japan, 5, 203- 205.

山陰海岸ジオパーク(玄武洞公園・赤石周辺)

http://sanin-geo.jp/geosite/2116