火山超雑学クイズ

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出題クイズ

Q53
イタリアのエトナ山では、1991年~1993年の噴火で、町への被害を回避するためにある試みが実施されました。どんな試みでしょうか?
出題者(國友孝洋)

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A53
溶岩流の制御実験です。

解説

 溶岩流は一般に流速が遅く、人が飲み込まれることはまずありませんが、居住地に流れ込むと住居やインフラ、土地などに深刻なダメージを与えることがあります。そこで、溶岩流の流路を変えたり堰(せ)き止めたりして、居住地に被害が及ばないようにする溶岩流制御の試みが、ハワイのマウナロア山、イタリアのエトナ山など様々な火山で試みられています。

 エトナ山で1991年から始まった噴火は、1年半近くの長期にわたるもので、溶岩流を流し続けました。土で築いた高さ20mの人工堤防で防げるかと思われていいましたが、最終的に2億5千万立方メートルとなった大量の溶岩流を食い止めることはできませんでした。溶岩流はダムを乗り越え、人口数千人の町ザフェラーナを直撃するおそれがでてきました。溶岩トンネル(溶岩チューブ)を通って冷えずに長い距離を流れている溶岩流を分散させることが最適であると考えられたため、溶岩トンネルの開口部に大型ヘリからコンクリートブロックを投入して流路を塞ぐ、溶岩壁を爆破して別の流路に主流を導く、といった試みが何度も繰り返されました。最終的には、パワーショベルを用いて大きな溶岩ブロックを溶岩トンネルに入れ、同時にトンネルの側壁を至近距離から爆破して、溶岩流の主流を人工的に作った流路に導くことに成功し、ザフェラーナの町は助かります。


参考文献

宇井忠英[編](1997)火山噴火と災害 東京大学出版会 219pp.