火山超雑学クイズ

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出題クイズ

Q52
フィリピンでは、1991年に20世紀最大級と言われている噴火を経験しました。どの火山が噴火したのでしょうか?
出題者(國友孝洋)

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A52
ピナツボ山(ピナトゥボ山 Mt. Pinatubo)です。

解説

 年が明けて間もない1月12日に、フィリピンのタール火山が爆発的な噴火をしたというニュースが駆け巡りました。大きな被害が出ないことをお祈りします。

 さて、ピナツボ火山は、フィリピンの首都マニラの北西90㎞ほどのところにあります。1991年4月上旬から地震が起き始め、震源がだんだん浅くなるとともに、火山性微動も顕著になり6月7日に最初の爆発が起きました。6月15日には最大規模の噴火が発生、その噴煙は35~40kmの高度にまで達し、噴煙柱の崩壊による大規模な火砕流も発生しました。その噴火では、火砕流に巻き込まれた数十名が亡くなりましたが、約6万人の周辺住民が事前に避難しており、およそ2万人が助かったと言われています。しかし、繰り返される噴火や火山泥流、火山灰による避難所の圧壊などで犠牲は拡大していきました。

 大きな火山噴火は地球規模の気象に影響することが知られていますが、ピナツボ火山の噴火では、地球の平均気温を0.4℃程度下げたと推定されています。その主な原因は、噴火で大量に放出された二酸化硫黄が大気中で硫酸エアロゾルとなり、それが成層圏に拡散することで地表に到達する太陽光が減少したためと考えられています。「グスコーブドリの伝記」では、火山噴火の際に放出される二酸化炭素による温暖化が描かれていますが、実際の火山噴火では、気温を下げる方向に作用することが多いようです。温暖化効果のみを得るには、成層圏まで噴煙を届かせないようにするとか、二酸化炭素を優先的に大量に放出させるとか、いろいろな噴火制御が必要なようです。


参考文献

下鶴大輔監修/火山防災用語研究会編(2003)火山に強くなる本ー見る見るわかる噴火と災害ー 山と渓谷社 199ページ

鎌田浩毅(2008)マグマの地球科学-火山の下で何が起きているか 中公新書 262pp。

宇井忠英[編](1997)火山噴火と災害 東京大学出版会 219pp