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●南西諸島(琉球)海溝沿いに固着域は存在するか?![]() 南西諸島の地殻変動(国土地理院GEONETによる) 国土地理院のGEONETの観測結果によると,南西諸島は背後にある沖縄トラフの拡大の影響を受けて海溝方向に迫り出すような地殻変動をしており,プレート間固着なんて無さそうに見えます.確かに,歴史的に巨大地震はほとんど知られていません.1771年の八重山地震(明和の大津波)と,1911年の喜界島地震くらいです.地震の履歴がよく分かっていないため,南西諸島海溝沿いの海溝型地震の長期評価(地震発生確率の算定)は行われていません. しかし,南西諸島はほぼ1列の島嶼列からなるため,海溝軸付近に固着域があっても,陸城での地殻変動観測からでは分かりません.そこで海底地殻変動観測の出番なのです! |
●南西諸島海溝におけるプレート間固着域の発見![]() 南西諸島海溝における海底地殻変動観測結果(暫定) 琉球大学,沖縄県水産海洋技術センター(調査船「図南丸」)などと共同で,2008年から沖縄本島南東沖の2ヵ所(RKA,RKB観測点)で海底地殻変動観測を始めました. その結果,両観測点が沖縄本島に向かって動いており,両観測点の近くにプレート間固着域があることが明らかになりました[Tadokoro et al., 2018].この固着域は,琉球王朝の正史「球陽」に書かれている尚穆王四十年(1791年)の海面変動から推定された津波の波源域[Nakamura and Kinjou, 2013]とピタリ一致したのです! スロースリップが活発な領域[Nishimura, 2014]や海底地形が盛り上がっている場所のすぐ海溝軸側だったり,ルソン・沖縄断裂帯が沈み込む付近だったりするので,この場所に固着域があっても不思議ではありません. ただ,この2つの観測点だけでは固着域の広がりは分かりませんので,島嶼が存在しない沖縄本島-宮古島間に新たな観測点を2つ(RKC,RKD観測点)設けて観測を行っています.まだ誤差が大きくて確定的なことは言えませんが,どうもこれらの観測点は動いていないようです(理由は何となく分かったのですが,それはまたいずれ). |
ご参考まで
Tadokoro, K., et al., Geophys. Res. Lett., 45, 6869-6877, doi:10.1029/2018GL078655, 2018.
プレスリリース「沖縄本島南方沖で海溝型巨大地震を引き起こすプレート間の固着域を発見」
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