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●南海トラフ域における海底地殻変動![]() 南海トラフ域での海底地殻変動観測結果(暫定) 熊野灘および南海トラフ軸近傍での海底地殻変動観測結果から,熊野灘直下のプレート境界は強く(固着率90%程度)固着していることが明らかになりました[Tadokoro et al., 2012;Yasuda et al., 2017]. 東北地方太平洋沖地震で海溝軸付近が大きくすべったことを受けて,2013年に南海トラフ軸近傍に観測点(TCA観測点)を新設しました.また,沈みこむプレートの動きを実測するために,同じ年にトラフ軸よりもさらに海側にも観測点(TOA観測点)を新設しました. これまでの観測によると,TOA観測点の動きは,プレート運動モデル(MORVEL;DeMets et al., 2010)から推定されるものとほぼ同じで,またTCA観測点直下の固着率は70%程度であることが分かってきています.しかし,観測誤差が大きいので,何とかしたいと思っているところです. |
●南海トラフ域におけるプレート境界面の固着![]() 南海トラフ沿いのプレート間固着状態[Kimura et al., 2019] 熊野灘での海底地殻変動観測結果と国土地理院のGEONETによる陸域の地殻変動観測結果に,南海トラフ軸における海底地殻変動観測結果も加えて,南海トラフ域のプレート間固着状態を推定しました[Kimura et al., 2019].この解析では,陸域と海域とで地殻変動観測点密度が大きく異なるため,空間的に均質な小断層分割では固着状態の推定誤差に空間不均質性生じるため,それを解消するように空間的な推定誤差を最適化した小断層分割という方法を導入しています. 大局的に見ると,トラフ軸沿いの深さ0~25km付近までの固着が強い傾向にあることが分かりますが,,日向灘や室戸岬沖,潮岬沖,熊野灘の一部など,部分的に固着が弱い領域も存在するようです.こういった結果を南海トラフ地震の想定に組み込んでほしいなぁと思っています. ※熊野灘での観測は三重県水産研究所(調査船「あさま」)と共同で実施しました. ※南海トラフ軸近傍における観測では海洋エンジニアリング(株)にお世話になっています. |
ご参考まで
Tadokoro, K., et al., Geophys. Res. Lett., 39, L10306, doi:10.1029/2012GL051696, 2012.
Yasuda, K., et al., Geophys. Res. Lett., 44, 3572–3579, doi: 10.1002/2017GL072918, 2017.
Kimura, H., et al., J. Gephys. Res., 124, 6140-6164, doi:10.1029/2018JB016159, 2019.
プレスリリース「南海トラフに沈み込む海のプレート上に海底地殻変動(海底GPS)観測点を初めて設置」
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