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海底地殻変動観測システムの開発と繰り返し観測 3

観測成果(その1)

●海域で発生した大地震による地殻変動の検出

紀伊半島南東沖の地震による地殻変動[Tadokoro et al., 2006]

 熊野灘で繰り返し観測を始めて間もない2004年の9月5日,海底局設置地点近くの海底でM7クラスの地震(紀伊半島南東沖の地震;前震M6.9,本震M7.4)が発生しました.我々は,この地震による水平変動(南へ約18 cm)を検出することに見事に成功しました[Tadokoro et al., 2006].この成果により,海域で発生する地震の観測には本システムが不可欠であることが改めて認識されました.
  ●駿河トラフにおけるプレート境界面の固着

駿河トラフでの海底地殻変動観測結果[Yasuda et al., 2014]

 駿河トラフを挟む両側での海底地殻変動観測結果(図の赤矢印)から,駿河トラフ軸近傍におけるプレート境界面の固着状態を明らかにしました[Yasuda et al., 2014].
 国土地理院のGEONET(図の青矢印)による平均的な変位速度を参考にすると,伊豆半島とSNE観測点(駿河トラフ東側)との間に顕著な短縮傾向は見られません.これは,駿河トラフ東側の沈み込むプレート(地殻ブロック)がトラフ軸近傍まで剛体的に振る舞っていることを意味しています.
 駿河トラフを挟む両ベンチマーク間では顕著な短縮傾向は見られず,駿河トラフ北部では海溝軸の付近までプレート間が強く固着していると推定されます.
 なお,この観測は,東海大学海洋研究所(実習船「北斗」)と共同で実施しました.

ご参考まで
 Tadokoro, K., et al., Geophys. Res. Lett., 33, doi:10.1029/2006GL026742, 2006.
 Yasuda, K., et al., Geophys. Res. Lett., 41, 5806-5812, doi:10.1002/2014GL060945, 2014.

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