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●リアルタイム・連続観測がやりたい![]() 土佐黒潮牧場のブイに設置した観測機器類 現在の観測スタイルでは,船で海底ベンチマークの設置地点まで行かないと観測ができないので,国土地理院のGEONETのように連続して観測することができません.また,今の解析法だとGNSS測位による船の精密位置決定には時間がかかるため,リアルタイムに地殻変動を知ることもできません.これでは,海域で大規模な地震が起こった場合に,正確な海底地殻変動の情報をすぐに得ることができません. そこで,東京大学地震研究所や高知工業高専と一緒に,高知県のご協力により,「土佐黒潮牧場」の係留ブイに観測機器を設置して音響測距を連続で行い,加えてリアルタイムで高精度なGNSS測位ができる方法を導入して,リアルタイム・連続観測のシステムを構築しました.観測精度の確認には弓削商船高専(練習船「弓削丸」)にもお世話になりました. この開発で,特に連続観測の要素技術が完成しました. ※余談ですが,衛星通信システムの開発を始めた頃は,ちょうど例の"はやり病"の時期で時間がたっぷりあったため,通信プログラムやらマイコンやら電子工作やらの技術(それほど高くないが)を身に付けてしまったので,普段の観測で使っている機器や処理周りをいろいろと改良しました. |
●通信衛星経由でデータを送る![]() 船内でのLoRa通信実験の様子(写真がゴチャゴチャしててすいません.観測中の船内ってこんなもんです.) リアルタイム・連続観測ができるようになったとして,問題は,ブイからのデータをどうやって陸に送ってくるかです.衛星通信を使えば良いのですが,商用のものは通信料が高いのがネックです. ところで,米子工業高専などがキューブサットとよばれる10cm角(×2)の超小型衛星を自前で作って(すごい!),JAXAのイプシロンロケットで打ち上げるという計画があります.この衛星で通信の実験を行わせていただけることになり,そのための開発を行っています. 音響測距の波形から海面等での反射を取り除いて信号の到着時刻を自動で読み取り,データ容量を圧縮して1日1回,衛星通信装置に伝送するプログラムを組みました. 出来上がったシステムの通信実験に,SpaceX社のStarLink(これはほんとに優れもの)を使ってみました.8ヵ月連続でデータ伝送を行って,受信成功率は93%でした. 実際の衛星との通信にはLoRaWANを利用するので,そのための通信実験も行いました.海域で海底局から受けた実際の音響信号を処理してLoRaで送る船内実験もうまくいき,あとは衛星が上がるのを待つばかりです. |
ご参考まで
Tadokoro, K., et al., Front. Earth Sci., 8, 123, doi:10.3389/feart.2020.00123, 2020.
Kato, T., et al., Proc. Jpn. Acad., Ser. B, 98, 49-71, doi:10.2183/pjab.98.004, 2022.
Kato, T., et al., J. Dis. Res., 13, 460-471, doi:10.20965/jdr.2018.p0460, 2018.
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