「予知」と「予測」は区別がない
 本書では、「予知」と「予測」は区別せず、「予知」に統一しました。辞書(大辞泉)によると「予知」とは「何が起こるかを前もって知ること」、「予測」とは「ことの成り行きや結果を前もって推し量ること」となっていて、「予測」のほうが不確実性が大きいような印象を受けます。しかし、「地震予知」と表現しても「地震予測」と表現しても、「地震の発生をあらかじめ知る」という意味では両者は同じであり、未来を知ることに誤差が伴うことは当然であることから、区別をつけるのは困難であると判断しました。そのため、従来から用いられている「地震予知」という言葉に統一しました。
 将来の地震について、その場所・規模・時期を予測することは、地震による災害を軽減するための対策を立てるために本質的に重要なことです。「予知」と言おうが「予測」と言おうが、はたまた「調査研究」を言おうが、自然を理解し、モデル化し、将来発生するであろう揺れの強さについて、誤差を伴いながらの知ることが目的のはずです。その結果に立脚することによって適切な地震災害軽減対策を取ることが出来るわけです。