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断層帯の深部構造を探る

微小地震の精密装置震源決定

 地震調査研究推進本部のプロジェクトで「屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯(恵那山-猿投山北断層帯)における重点的な調査観測」というプロジェクトが立てられました.このプロジェクトでは,変動地形調査,トレンチ調査,浅層反射法地震探査などが行われ,それらの結果に基づいて同断層帯での強震動予測が行われました.

 この中で,屏風山断層と猿投山北断層・猿投-境川断層の接合部にあたる場所での深部構造を明らかにしようということで,2006年12月19日に起こったM4.4の地震の余震とその周辺の微小地震の震源の相対位置を精密に決めて,どのような面的構造があるかを明らかにする研究を行いました.精密震源決定はWaldhauser and Ellsworth [2000]のDD法によりhypoDD[Waldhauser, 2001]プログラムを用いて行いました.ちょうど例の "はやり病" の時期で,来る日も来る日も地震波形から初動を読み取るのが おうち時間 の過ごし方でした.


DD法で再決定した余震分布の断面図(いくつかの微細な面構造が見える)
 
深部の面的構造の模式図(赤い矩形が検出した面的構造)

 精密相対震源決定結果からいくつかの微細な面構造が把握できたのですが,それらの傾斜は地表で確認されている活断層の傾斜とは合わず,深部ではより複雑な構造があるようです.特に,2006年のM4.4の断層面は恵那山断層の西端部と深部で接合する格好になっています.この解析では深さ12kmより浅い部分の構造は分かりませんが,得られた面構造をそのまま地表に伸ばすと地質図に記載のある断層の地表トレースにぶち当たるので,古傷みたいなものが活動したのかも知れません.

ご参考まで
 屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯(恵那山-猿投山北断層帯)における重点的な調査観測 令和3年度 成果報告書【抜粋】

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