地殻構造探査学

データ解析演習(その5)

課題その4へ < その5 > 課題その6へ

マイグレーション

この課題ではサンプルデータ demo_mig1.su, demo_mig2.su, demo_mig3.su, demo_mig4.su を使用する。 データがなければここを参考にしてコピーする。

まず、demo_mig1.su のデータを表示する。

$ suximage < demo_mig1.su &

図:demo_mig1.su のイメージ表示。縦軸は時間、横軸は震源・受振点位置。

これは、深度の異なる3つの散乱点が存在する場合に得られるゼロオフセット記録である。

まず、データの中身(ヘッダの範囲)をチェックする。

$ surange < demo_mig1.su

101 traces:
tracl    1 101 (1 - 101)
tracr    1 101 (1 - 101)
cdp      1 101 (1 - 101)    % CDPの範囲は 1 - 101
cdpt     1
trid     1
sx       0 5000 (0 - 5000)
gx       0 5000 (0 - 5000)
counit   1
ns       201
dt       19999              % dt = 2 (ms) のはずだったが何か変。気にしなくてよい。
d2       0.050000           % CDP間隔 = 0.05 (km) = 50 (m)
マイグレーションの手法はたくさんあるが、今回は f-k マイグレーションを拡張 した Stolt (1978) の方法を使う。 最大の理由は「計算時間が短くてすぐに結果が出るから」。マイグレーションは 通常時間のかかる処理である。

$ sustolt cdpmin=1 cdpmax=101 tmig=2 vmig=???? dxcdp=50 < demo_mig1.su | suximage &
vmig = 1600〜2400 (m/s) 程度を入れて結果を比較すること。

図:vmig=1800, 1900, 2000, 2100, 2200 m/sとしたマイグレーション結果。

結果を比べてみよう。

次に、demo_mig2.su も同様にマイグレーションしてみよう。ただし、速度は与えていない(ヒント:一定速度)ので、適切な速度を探すこと。 手動で試行錯誤を繰り返してもよいが、課題その4で使用したシェルスクリプトを修正して使うのは非常によいアイディアである。

図:(左)demo_mig2.su のイメージ表示。(右)マイグレーション結果のイメージ表示。

などの特徴がわかる。

次に、demo_mig3.su も同様にマイグレーションしてみよう。

図:demo_mig3.suのイメージ表示。

これも、速度は一定であるが与えていないので、適切な速度を探すこと。散乱波が十分に収束する速度を選択する必要がある。 一見正解と勘違いする間違った答えを導きやすいので十分に検討してほしい。

次に、demo_mig4.suをマイグレーションする。

demo_mig4.suを表示する。

$ suximage < demo_mig4.su &

図:demo_mig4.suのイメージ表示。

demo_mig4.su の波形は demo_mig1.su と非常によく似ている。 これも深度の異なる3つの散乱点が存在するモデルで得られた記録である。 これをマイグレーションせよ。

$ sustolt cdpmin=1 cdpmax=101 tmig=2 vmig=???? dxcdp=50 < demo_mig4.su | suximage &
vmig=1400〜2500 m/s 程度を入れて結果を比較すること。 この手の作業を行うには、課題その4で使用したシェルスクリプトを修正して使うのがよいアイディアである。



実習中.....(ちょっとスペースを開けてみる)



やってみるとわかるように、3つの散乱点で収束する速度が異なる。 これは地下の速度構造が一定ではないためである。

Stolt(1978) のマイグレーションは1次元速度構造に対して拡張がなされており、深度方向の速度変化を取り扱うことができる。

$ sustolt cdpmin=1 cdpmax=101 vmig=1400,1500,1600,1700,..... tmig=1.0,1.5,2.0,2.5,..... \
  dxcdp=50 < demo_mig4.su | suximage &
\は行の継続を示し実際には入力しない。 適切な速度構造を探して(先に一定速度で試した結果が参考になる)、マイグレーションしなさい。ぴったりと収束する速度を見つけるのには少し苦労するかもしれない。

図:demo_mig4.suのマイグレーション結果。少し試すとこの程度の結果が得られるはず。


課題

サンプルデータをマイグレーションしなさい。 を提出しなさい。


課題その4へ < その5 > 課題その6へ
戻る
Last modified: Wed Nov 30 10:34:42 JST 2022