解析方法


 ・ 重みつきスタッキング


1時間に観測されたACROSS信号を長時間スタックする際,ACROSS信号の周波数に入ってくるノイズのエネルギーの大小を考慮して,重みをつけてスタッキングを行っている.
ACROSS信号の周波数に入ってくるノイズのエネルギーは,その前後の周波数のノイズのエネルギーを用いて推定する(近接する周波数ではノイズの振幅は一定であると仮定).今回は前後3点(計6点)のデータからACROSS信号の周波数に入ってくるノイズの振幅を推定した.




 ・ 伝達関数



 ・ センブランス解析



 ・ クロススペクトルを用いた走時変動解析



 弾性波の走時変動を調べるために,基準時刻に観測された波形とそれぞれの時間で観測された波形を用いて,クロススペクトルを計算し,走時差を求めています.
 クロススペクトルを計算することにより,各周波数で位相差が求まります.その位相差を走時差に直し,各周波数の走時差の平均を,その時刻の基準時刻からの遅れとして求めます.またこの実験では,地震計アレイを用いているため,波のスローネスの変化量も求めることができます.クロススペクトル計算によって求められた走時差ΔTijから,下の式を用いて最小2乗法により,スローネス変化量(Δα),走時差(Δτ)を求めます.

     ΔTij = Δα・xj + Δτ    [ i : 周波数番号, j : センサー番号]
ΔT  - クロススペクトルから求められる走時差(s)
Δα - スローネス変化量(s/km)
Δτ - 走時差(s)
x   - センサー距離(km)



 以下に解析の流れを簡単に図示します.

 ・ 基準時刻の波形(2003 12/30 5:00)とある時刻の波形(ここでは2003 1/2 13:00),それぞれの波形の振幅スペクトル.

 ・ 上の図と同様の波形(上図)と信号成分のみの振幅スペクトル,位相スペクトル(中図),クロススペクトルを計算して求めた各周波数の走時差(下図).

 ・ 各周波数,各センサーで得られた走時差と,最小2乗法により求められた走時差,スローネスの変化量および見積り誤差.