S18-09080938-4595A LM-ACROSSと地盤のカップリング特性

森口賢治,宮川幸治,山岡耕春(名大理),熊澤峰夫(動燃)

Coupling analysis between LM-ACROSS and ground

Kenji MORIGUCHI, Kouji MIYAKAWA, Koshun YAMAOKA (Nagoya Univ.), Mineo KUMAZAWA (PNC)

 ACROSSは震源装置によって密に制御した正弦波の弾性波信号を発生し,それを震源に正確に同期して記録し解析する.震源装置には回転式ACROSSとLM-ACROSS(linear motion ACROSS)とがある.回転式の震源が偏心おもりを回転させて遠心力を発生させ地面に力を加えるものに対し,LM-ACROSSは直線力を発生させおもりを振動させ,おもりの慣性力を本体を介して地面に伝える.この震源の加振力の周波数特性を調べ,簡単な震源モデルを使って説明を試みた.

実験概要:  LM-ACROSS震源は名古屋大学内に設置されているものを用いた.震源装置にファンクションジェネレータから一定振幅,一定周波数の正弦波信号を入力し装置を加振し,その振動をおもり,震源本体,震源のごく近くの地面の上においた加速度計(LION VM-61,AKASHI V-401)によって測定した.得られたデータはA/Dコンバータ(National Instruments DAQ Card-500)を介してPCに取り込んだ.震源に入力する信号は電圧を400mVから800mVまで100mV刻みで,周波数を10Hzから150Hzまで5Hz刻みで変化させデータを得た.サンプリング周波数は1001Hz,データ長は10秒である.

結果および考察:  震源装置のおもり,本体および地面の振動の周波数特性は装置の共振,カプラの特性などに影響されていると思われた.(図1左)そこで,地面,震源装置の本体とおもりの3つの部分をばねとダッシュポットでつなげた1次元モデルを考え(図2)ばね定数,減衰定数などのパラメータを決定した.その結果実験結果の傾向を説明できることが分かった(図1右).この実験によりバネ定数や減衰定数といったカプラの特性によって装置の地面に対する加振力に変化があり,これは外的要因によって変化することが考えられるので,ACROSSの実際の運用で考慮する必要があることがわかった.


図1 左:各部の振動特性(入力電圧600mVp-p) 右:モデルによって再現された振動特性

図2 震源のモデル