衛星テレメータを用いたACROSS受信用TSSの性能評価

 衛星テレメータに用いられている装置をACROSSの受信装置として使用することができるかどうかを,淡路島に設置されている装置を用いてテストをした.

 ACROSSは複数の正弦波信号を用いて地下構造とその時間変化を探るために考案されたシステムである.正弦波を用いるのは信号のS/Nを向上させるためであり,ひとつひとつの正弦波を狭帯域で捉えるところがミソである.そのために正確な時計(通常はGPS時計を用いる)に同期して信号を送受信している.衛星テレメータもGPS時計を基準にしてAD変換をしているためACROSS用の受信装置として用いることができる可能性がある.今回1998年12月14日から1999年1月14日まで淡路島に設置されているACROSSを連続に運転する実験を行ったので,その機会に衛星テレメータのTSSとしての性能試験も行った.

 実験は断層解剖計画で淡路島の富島に設置されたボアホール地震計の信号を衛星テレメータを通じて名古屋大学で受信して行った.一時的に保存されている連続記録を1時間ごとに100秒間隔でスタックした.スタッキングは12月25日〜1月14日まで行った.

 すべての信号をスタックしていった結果,信号成分の振幅がスタック回数の1乗に比例するのに対し,ノイズ成分は1/2乗に比例し,信号とノイズの分離がうまく行われていることがわかった(下図).また刻時のずれが原因と思われるスペクトルのすそ野が確認できたが,その振幅は小さく10^-4程度であり,実用上は問題がないことが確認された.

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