NGY地震学ノート No.36改訂版2

Oct. 2012
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(学会発表版)◆ --------------------------------------
3月11日東北地方太平洋沖地震(M9.0)
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2012年地震学会で発表したすべり分布です。
この地震は多くの地震の連動によって起こった巨大地震です。これまでの解析手法は 破壊開始点から360度の方向に破壊が伝播してくることを仮定しています。ところが 今回の地震では主破壊が終わる前に離れた茨城・福島沖で地震が起こっているため、 このままの手法ではうまく解くことができません。そこで茨城福島沖の地震が起きる までの時間について解析を行っています。従って三陸の沖合の大きなゆっくり滑り の部分についてはまだすべりが終わっていない段階で解析をやめています。実際には もっと大きな滑りがあったということです。今後手法の改良を行った上で、この地震の 全体像を調べていきたいと思います。

すべり分布

宮城沖の灰色点線は、東北地方太平洋沖地震の宮城沖での主なサブイベントのアスペリティ 場所を示している。宮城沖では破壊開始点から深い方に存在するアスペリティ を時間差を持って破壊していった。赤いコンターは最終的なすべり分布であるため、 これらのサブイベントが1つの大きなアスペリティのように表示されてしまっているが 実際にはこの中にいくつかのサブイベントが存在している。

(文責:山中)