NGY地震学ノート No.23

Sep 30, 2009
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
9月30日インドネシアの地震(M7.6)
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● 概略・特徴: 9月30日10時16分(UT),インドネシア スマトラ島沖でM7.6の 地震が発生しました.震源に近いパダンでは建物が倒壊し多くの犠牲者がでているようです.
USGSによる速報震源は次の通りです.

    発生時刻             震央          深さ      M
 09/09/30 10:16  (UT)    0.789°S   99.961°W      80km     7.6

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動37,SH波12) を用いて 解析しました.
●結果: 結果をに示します。主な震源パラメータは次の とおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (201,49,56) 
 地震モーメント  Mo  =  2.0 x10**20 Nm  (Mw = 7.5)
  破壊継続時間(主破壊) T  =  10s
 深さ          H =  80 km
 最大すべり量      Dmax = 18 m
 応力降下量       Δσ = 100MPa

●解釈その他:プレート内の地震です.9月2日にジャワで起こった地震とよく似ています. この地震についても2枚の断層面のうちどちらが断層面かは波形解析だけからは断言できません. とりあえず波形のあいのよい北西傾斜の面を断層面とした結果を載せてあります.浅いプレート 境界の地震と違い,大変狭い領域で大きな滑りが短時間に起きていることがわかります. しかし震源が深かったのでこれほど被害がでるとは思っていませんでした.規模が大きく応力 降下量も大きかった上に陸に近いところで起きたため近隣の町で大きな被害が出たのかも しれません.

(文責:山中)