NGY地震学ノート No.22

Sep 30, 2009
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
9月29日サモアの地震(M8.0)
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● 概略・特徴: 9月29日17時48分(UT),サモアでM8.0の 地震が発生しました.これに伴い津波も発生し少なくとも34名の方が亡くなりました. 米領サモアのパゴパゴでは1.5mの津波が観測されたとのことです.日本でも八丈島, 父島,石巻で10cm,三宅島,室戸で7cm以下の津波が観測されました. 現地ではこのほかにも多くの犠牲者がでているようです.
USGSによる速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央          深さ      M
 09/09/29 17:48  (UT)      15.56°S   172.07°W      18km     8.0

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動29,SH波1) を用いて 解析しました.
●結果: 結果をに示します。主な震源パラメータは次の とおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (135,64,-85) 
 地震モーメント  Mo  =  2.4 x10**21 Nm  (Mw = 8.2)
  破壊継続時間(主破壊) T  =  50s
 深さ          H =  15 km
 最大すべり量      Dmax = 13 m

●解釈その他:アウターライズで起こった正断層の地震です.この地域では時々この ような地震が起きています.今回の地震では2枚の断層面のうちどちらが断層面かは波形解析 だけからは断言できません.とりあえず波形のあいのよい方を載せてあります.解析の都合上 15kmより浅く震源をとれませんでしたが,かなり浅い震源で大きな滑りが海底面近かった ことがわかります.また大きく滑った領域が南北2カ所にあります.これについてはもう少し 調べる必要がありますが,2つの地震がほぼ同時に起きたのかもしれません.これについては 今後もう少し調べてみる予定です.

(文責:山中)