NGY地震学ノート No.13

Jan 4, 2009
Jan 5, 2009 改訂
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
1月3日インドネシア東部の地震(M7.6, M7.3)
----------------------------------------------------------------

● 概略・特徴: 1月3日19時43分(UT),インドネシア東部のニューギニア島でM7.6とM7.3の地震が発生しました.震源近くの街では建物が損壊,1名が死亡,数十人が怪我をしているそうです.この地震による津波が日本でも観測されました.(気象庁のHP
USGSによる速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央         深さ      M
 09/01/03 19:43  (UT)      0.51°S   132.78°E      35km     7.6
 09/01/03 22:33  (UT)      0.70°S   133.28°E      35km     7.3

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動47,SH波20) を用いて解析しました.
●結果: 結果を図a1と図2に示します。主な震源パラメータは次のとおりです.

☆09/01/03 19:43
 走向、傾斜、すべり角 =  (107,24,58) 
 地震モーメント  Mo  =  3.1 x10**20 Nm  (Mw = 7.6)
  破壊継続時間(主破壊) T  =  30s
 深さ          H =  15 km
 最大すべり量      Dmax = 2.7 m
☆09/01/03 22:33
 走向、傾斜、すべり角 =  (100,25,75) 
 地震モーメント  Mo  =  1.3 x10**20 Nm  (Mw = 7.3)
  破壊継続時間(主破壊) T  =  20s
 深さ          H =  15 km
 最大すべり量      Dmax = 3.0 m

●解釈その他:
この付近は大変複雑なプレート運動をしているところです.(下図を参照.今回の震央は○)今回の地震は南西方向に傾斜する低角の逆断層の地震でした.
この地震で現地周辺では津波の警戒が解除されたにもかかわらず日本には津波が来ました.なぜこのようなことが起こったかは東北大のHPをご覧ください.

すべり分布(コンターは0.3m間隔で0.8m以上すべったところ).破壊開始点は . はUSGSによる余震分布.