NGY地震学ノート No.28

Apr. 15, 2010
名古屋大学地震火山・防災研究センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
4月13日中国チベットの地震(M6.9)
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● 概略・特徴: 4月13日23時49分(UT),中国青海省玉樹チベット族自治州玉樹県で M6.9の地震が起こりました.家屋が倒壊し,死者は600名を超え不明300名以上負傷者9000名 と大きな被害が出ているようです.
USGSによる速報震源は次の通りです.

    発生時刻         震央          深さ      M
 10/04/13 23:49  (UT)      33.271°N   96.629°E    10 km    6.9

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動44) を用いて 解析しました.
●結果: 結果をに示します。主な震源パラメータは次の とおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (119,66,0) 
 地震モーメント  Mo  =  1.69 x10**19 Nm  (Mw = 6.8)
  破壊継続時間(主破壊) T  =  20 s
 深さ          H =  5 km
 最大すべり量      Dmax = 0.6 m

●解釈その他:左横ずれの地震です.鮮水河断層の一部の活断層が動いたという ことですが,今回求められた断層の走向はこの断層の走向に一致します.震源はかなり 浅く,破壊はそこから東側に進みました.破壊域が浅いので直上ではかなり揺れが大きかった のではないかと思います.被害の状況が気になります.

(文責:山中)