海底地殻変動観測時ステムの開発と繰り返し観測

システムの概要・観測状況(4)

●海域で発生した大地震による地殻変動の検出

 熊野灘で繰り返し観測を始めて間もない時期の2004年9月5日,海底局設置地点近くの海底でM7クラスの地震(紀伊半島南東沖の地震;前震M6.9,本震M7.4)が発生しました.我々は,この地震による水平変動(南へ約18 cm)を検出することに見事に成功しました[Tadokoro et al., 2006].海域で起こる地震による地殻変動をこのようなシステムで検出したのは,これが世界で初めてでした.この成果により,海域で発生する地震の観測には本システムが不可欠であることが改めて認識されました.

●プレートの沈み込みにともなう地殻変動の検出
 熊野灘および駿河湾における繰り返し観測の結果,海域における定常的な地殻変動を年間1cm以下の精度で検出することに成功しました[Tadokoro et al., 2012].この結果から,熊野灘の海底下のプレート境界はしっかりとくっついており,次の東南海地震で破壊を起こすと考えられます.
 繰り返し観測と海底ベンチマーク網の展開を続けることにより,東海・東南海地震の発生予測研究が一段と進展することは間違いありません.
 

紀伊半島南東沖の地震による地殻変動.陸上の矢印は国土地理院GEONETによる観測結果.赤星印は前震および本震の震央で.小さい白丸は余震(気象庁による).
 
海底地殻変動観測ほかで捉えた南海トラフ周辺における地殻変動の様子.アムールプレートに対する変動を示す.陸上の矢印は国土地理院GEONETによる(畑中ほか[2003]).

主な成果:
Tadokoro, K., R. Ikuta, T. Watanabe, M. Ando, T. Okuda, S. Nagai, K. Yasuda, and T. Sakata, Interseismic seafloor crustal deformation immediately above the source region of anticipated megathrust earthquake along the Nankai Trough, Japan, Geophys. Res. Lett., 39, L10306, doi:10.1029/2012GL051696, 2012.
Tadokoro, K., M. Ando, R. Ikuta, T. Okuda, G. M. Besana, S. Sugimoto, and M. Kuno, Observation of Coseismic Seafloor Crustal Deformation due to M7 Class Offshore Earthquakes, Geophys. Res. Lett., 33, doi:10.1029/2006GL026742, 2006.